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なまはげの里で生み出される
最先端の和牛と米 最新のIT技術によりスマート化される農業の未来
2026.03.21

なまはげの里で生み出される上質な和牛と米

なまはげの里で生み出される
最先端の和牛と米 最新のIT技術によりスマート化される農業の未来
2026.03.21

IT技術を駆使した「スマート畜産」を導入し、和牛ブランド「和牛なまはげ」の生産を手がける、大進農場14代目の進藤俊人さん。次世代の畜産業の標準とも言える、その驚きの生産現場を見せていただきました。

男鹿随一、秋田でも有数規模の広大な牛舎が並ぶ農場は、匂いもなく静か。一見すると肥育農家だとは分からないほど整然とした外観です。進藤さんの姿を見つけると、人懐っこく近寄ってくる牛たち。活発ながらも気性は落ち着いており、ゆったりとした造りの牛舎には、穏やかな時間が流れていました。一頭一頭の首には小さなセンサーが装着され、1日の動きが詳細に把握されています。スマホでいつでも確認できる見守りカメラ、時間・配合・量が厳密に管理された自動給餌システム、そして自動ミストによる肺炎防止の消毒機能。これらはすべて管理棟のコンピューターで設定可能です。モニター上には、ITシステムによってデータ化された活動量や傾向、生育具合の詳細が、表やグラフによって一目瞭然の状態で映し出されていました。

進藤さんによると、肥育で最も大切な仕事は「牛を見ること」。一頭一頭を観察し、小さな変化に気づくことが病気や事故の防止に繋がります。スマート畜産導入後も、毎日牛舎に足を運ぶことは変わりません。しかし、以前は50頭に3時間かかっていた餌やりが、現在は400頭に対し2時間弱で完了。欠かせなかった夜の見回りも、センサーとカメラが代替してくれます。本当に必要なタイミングで人が余裕を持って動けるようになり、身体的・心理的な負担が大幅に軽減されました。仕事に追われ、非効率ゆえに牛にもストレスがかかりがちだったかつての状況とは裏腹に、本来の「牛飼い」として最も重要な、牛と向き合う時間が増えたといいます。

代々農業を営んできた進藤家。進藤さんのお祖父様は、いわゆる「馬喰(ばくろ/家畜商)」として北海道から馬や牛を買い付けていました。お父様の代までは稲作がメインでしたが、米の過剰生産を抑える「減反政策」が本格化。稲作だけで生計を立てることが困難になり、牛の肥育を始める決意を固めたといいます。当時は資金的に牛舎を建てる余裕がなく、東京の「飯場(はんば/工事現場などの労働者が寝泊まりする宿舎)」で使われていたプレハブを解体し、男鹿まで持ち帰って最初の牛舎を建てたそうです。その古い牛舎は今もなお現役で稼働しています。代々の歴史を引き継ぎつつ、進藤さんがスマート化への投資を決めたのは、「100年先の肥育農家」の姿を見据えてのことでした。

そんな進藤さんは、「これからの農家に必要なのは、IT技術の知識がある人材」と語ります。それは稲作においても同じです。現在、牛の肥育作業の大部分は息子さん夫婦に引き継ぎ、ご自身は代々の田んぼで稲作を続けています。進藤さんが作る「ミルキークイーン」は、深い甘みともっちりとした食感が特徴で、男鹿市のふるさと納税返礼品としても高い人気を誇ります。農作業においてもスマート化を突き詰め、25町歩(約25ヘクタール=東京ドームにすると5個分以上)もの広大な田をたった一人で管理。ビニールハウス内には、リモコン操作が可能なロボットトラクターや肥料散布用ドローンなど、ワクワクするようなメカニックで近未来的な農業器具が並んでいました。

(進藤さんの農場のビニールハウス内に並んでしたロボットトラクターなど)

牛に与える飼料米や稲藁、敷料となる籾殻は、すべて進藤さんが育てた稲から得たもの。牛舎から出た牛ふんは堆肥として男鹿の大地に還り、翌年の実りをもたらします。さらに、地元のクラフトサケの醸造所「稲とアガベ」の酒粕を試験的に飼料へ混ぜたところ、牛の食欲増進にも効果が見られたそうです。「孫の代まで楽しく働けるように」。未来を見据えた男鹿の最先端の営みが連携し、新たな循環を生み始めています。

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