進藤俊人さん
大進農場
秋田県男鹿市

進藤俊人さん
大進農場
秋田県男鹿市
「牛を見れば、その日元気かどうかはすぐに分かるよ」
IT技術によるスマート化を導入しても、人が牛舎で過ごす時間や牛に注ぐ労力は変わらないという進藤さん。進藤さんに人懐っこく寄り添う牛たちの姿を見れば、まさに「手塩にかける」とはこのことだと感じさせられます。
進藤さんは、作業に追われすぎていると、牛の細かな変化に気づくのが難しくなると言います。スマート化の真の価値は、人間にしかできない「牛と向き合うこと」や「変化の機微への対応」に注力できる環境が成立すること。例えば、同じ枠で生活する6頭の牛の間にある順位争いや小競り合いなどは、センサーやカメラだけでは察知できません。
また、長年頭を悩ませてきたのは、出荷間近に巨体化した牛が、一度転倒すると自力で起き上がれず死に至る事故でした。出荷直前の損失は、経済的な打撃はもちろん、育ててきた側にとって精神的なダメージも大きかったと言います。しかし、スマート管理を徹底してからの数年間、事故で失った牛は年間にわずか1頭いるかいないか。これは従来の肥育農家では考えられないほど驚異的な好成績だそうです。
稲作においてもスマート化を推し進め、精力的に米作りを行う進藤さん。「うちの米は本当にうまいよ」。取材班が「ぜひ食べてみて」とプレゼントいただいたお米は、そのもっちりとした食感と深い甘みに驚かされる逸品でした。
テクノロジーと人間が理想的な関係を築いている大進農場。経営者としての英断を経て、ダイナミックに展開される投資と生産の姿に、100年先の農業の明るい未来が確かに見えました。








