原田奨さん
恵比寿丸
熊本県天草市
原田奨さん
恵比寿丸
熊本県天草市
定置網や底引き網漁を営む漁師の家に生まれ、漁師歴は今年で19年になる原田さん。「漁が好き」という思いから家業を継いだものの、年々減少する漁獲量に危機感を抱くようになりました。そこで30歳で真牡蠣と岩牡蠣の養殖を独学で開始。今ではその功績が認められ2025年に、牡蠣養殖生産者協議会の初代会長に就任しました。
原田さんは、牡蠣を大きなかごに入れて海に吊るす「シングルシード方式」を採用しています。手間はかかりますが、かごの中で牡蠣が動くことで身が締まり力強い味わいに育つからです。夏は岩牡蠣、冬は真牡蠣の出荷に向けて、日々船で様子を見に回ります。
現在、原田さんが注力しているのが、「クマモト・オイスター」(シカメガキ)の復活です。小ぶりで旨みがギュッと詰まった味わいがアメリカで評価され、近年では日本でも注目を集めています。一時は熊本で姿を消していたこの牡蠣を、原田さんはもう一度天草から広めようと努めています。
「成長させすぎるとよくないので、できるだけゆっくり成長させるようにトライ&エラーを重ねてきました。毎年12月の出荷に向けて育てていますが、これまではだいたい7月8月で全滅していました。それが近年は夏を超えるようになり、昨年の11月はこのままいけば100%出荷できそうなほど調子がよかったんです。でも12月を目前にほぼ全滅してしまいました。もうちょっとなんです。まだまだ壁も多いですが、僕はこのくまもと・オイスターをアメリカで販売していきたい」と語る表情は、誇らしげでした。
(「クマモト・オイスター」のカゴ網。潮の満ち引きに合わせてカゴ網を露出させる干出という作業)